国際的な取引を行う企業では、複数の通貨を扱うために会計処理が複雑化する傾向にありますので、為替レートを確認して毎日の取引を特定の通貨に換算して会計処理をするのは大変な手間になってしまいます。
しかし、毎日の会計処理は実際に使用した通貨で処理を行い、一定の時点で特定の通貨に換算をする多通貨会計を使用すれば、会計処理が大幅に簡略化できるでしょう。円・ドル・ポンド・ユーロなどの取引は、円の取引やドルの取引などとして、個別に会計処理をしておけば良いのです。
特定の通貨に換算する時の為替レートについては、一定期間の平均の為替レートを算出したものを使用しますので、取引していない通貨の為替レートを毎日気にする必要はなくなります。
さらに、特定の通貨に換算することによる為替損益の計算の労力も減らすことができますので、実際の為替リスクを具体的に把握して経営の安定化を図ることも可能となります。計算上の為替差損益に一喜一憂することもなくなって、中長期的な国際取引戦略を立てることができるでしょう。
このように多種類の通貨を使って取引をする企業にとってはメリットのある多通貨会計ですが、利用が認められるのは外貨建債権債務や外国通貨の保有状況などから、外貨建取引を海外の通貨を使って記録するのが合理的であると、判断された場合となっていることに注意をしなくてはなりません。
貿易などを主な業務として複数の通貨の取引がある企業は、税務署や税金の専門家などと相談をして多通貨会計を利用できるようにするべきでしょう。最近は多通貨会計に対応した会計ソフトなども販売されていますから、容易に外貨による取引の処理ができるようになっています。
多通貨残高の管理や多通貨同士の消し込みができる機能が付いているソフトもありますから、簡単に多通貨会計を導入できるでしょう。会計処理の負担を減らすことで、海外との取引自体の内容を見つめ直す機会となるはずです。
多通貨会計とは
- 英語版リリースいたしました。